開業間もないホーチミンメトロ乗車記:ベトナムで日本製の鉄道システムを楽しむ

ベトナム一番の経済都市であるホーチミンは、街中にバイクや車がひしめく一方、公共交通機関はまだまだ発展途上といった感じです。そんな中、2024年12月にホーチミンに初めての地下鉄が開通しました!
計画されている路線のうちまだ一号線が出来ただけに過ぎませんが、それでもホーチミン市民の注目の的となっており、自分が訪れた2025年3月時点でもかなりの盛り上がりを見せていました。そしてこの地下鉄は日本の援助を受けて建設されていることから、随所に日本らしさを感じることが出来て中々面白いです。

この記事では、ホーチミンメトロの始発駅から終点まで乗り通した乗車記や、途中下車した駅周辺の様子について書いていきたいと思います。

目次

ホーチミンメトロの簡単な概要

現在は1路線のみで、市内中心部と郊外のバスターミナルを結ぶ

ホーチミンメトロの詳細な説明は他のサイトに任せますが、簡単に書いておきます。ホーチミンメトロの建設プロジェクト自体は2012年から開始されたものの、色々とトラブルや政治的争いなどがあり、2025年現在開業しているのは1号線のみです。

路線図には沢山の路線が描かれていますが、開通しているのは右上の水色の部分のみ

1号線は観光地としておなじみのベンタイン市場付近から、郊外のバスターミナルまでを結ぶ路線となっています。あくまで市内と郊外を結ぶ路線であることから、観光の実用的な移動にはちょっと使いにくいところはあるのですが、鉄道に少しでも興味があるなら、ホーチミンメトロに乗ることを目的に乗ってみるのも楽しいと思います!

お洒落エリアとして人気のタオディエンへはメトロで移動できます!Grabの方が便利かもしれませんが、気分を変えて鉄道旅も楽しいですよ。

VisaかMasterCardのタッチ決済で乗るのが便利

ホーチミンメトロの運賃は全線乗り通しても20kVND(120円)、1日券も40kVND(240円)と日本と比べれば非常に安いです。ただ自分が訪れた2025年3月時点では自動券売機が稼働しておらず、切符を買うためには列が出来た有人カウンターに並ぶ必要がありました。

一方で自動改札はVisaとMastercardブランドのクレジットカードのタッチ決済に対応しています!これらのブランドのカードを持っていれば改札でカードをタッチするだけで乗り降り出来るので超ラクチンです。対応しているカードをお持ちの方は、ぜひ持っていきましょう!

ホーチミンメトロ往路乗車記:始発から終点まで乗り通す

始発駅:Ben Thanh(ベンタイン駅)

ホーチミンの定番観光スポットの一つであるベンタイン市場。ホーチミンメトロ1号線の始発駅は、そんなベンタイン市場の隣にある広場の地下にあります。

市場の斜め向かいの広場にはコンコース上部の光取りとなっている建物がありましたが、近未来感があって素敵です。改札階への入口は別に用意されています。

ベンタイン市場の横にもちゃんと入口があります。市場の雰囲気に対してこちらもめちゃくちゃ近代的です。

駅構内に入ってみますが、サイン案内の雰囲気や、内装の雰囲気がまんま日本です!安心感が凄い。

特にこの出口の黄色い看板なんて完全に日本のデザインです。そしてこの出口案内の看板はベトナム人の若者にもウケているらしく、かなり多くの若者がこれらの出口サインの前で記念撮影をしていました。
これ以外にも、とにかくメトロ関係のあらゆる場所でみんな写真を撮りあって盛り上がっている様子が見られました。自分が訪れたのは開業から3ヶ月ほどのタイミングでしたが、まだまだお祭りムードは続いている雰囲気でしたね。

改札内に入りました。日中は8分間隔とまあまあの頻度で運転していて便利です。改札内のトイレもとても綺麗でありがたいですね。

ホームへ降りていきます。車両の走行空間の上部までガラスで覆われたデザインが特徴的な空間です。

ホームにも行き先表示の電光掲示板が設置されているほか、各種サイン類も分かりやすく表示されています。しかしこの青背景に水色のライン、京急を思い出さずにはいられません…笑

あとさり気なく遅延情報も表示しています。かなりしっかりしていますね。

ベンチの近くにあった路線図と構内図のデザインも、どことなく日本らしさを感じます。

車内の様子

さて、車両に乗り込んで行きましょう!車両にはロゴと共に一号線が結んでいる2つの街、ベンタインとスイティエンの文字が刻まれていました。

車内の様子はこんな感じ。海外にありがちなプラスチックの座席です。全体的にホーチミンメトロ一号線は水色が路線カラーとして使われているようですね。

ドア上にはモニターでは無いものの、路線図が光るタイプの案内表示器が装備されていました。

ちなみに車両の端は優先席になっていました。この辺も日本と一緒ですね。

また自分が乗っていたときは車内を警備員が巡回していて、空席に荷物だけ置いているような人を注意するなど車内マナーの向上にも力をいれているようでした。実際ホーチミンメトロの治安はめちゃくちゃいい感じで、安心して乗ることが出来ました。

前面展望を楽しみながら終点のスイティエンへ

行きは座らずに前面展望を楽しむことにしました。列車はベンタインを出発した後しばらくは真新しい開削トンネル内を走行していきます。日本の地下鉄と比べてかなりトンネル内が明るくて新鮮です。

少しですが単線シールドトンネル区間もありました。ピカピカの丸いトンネルを走り抜けるのは気持ちいですね。後から調べたところ、資金面だけでなく、土木工事についても日本のゼネコンが関わっていたみたいです。

始発から2駅目のBa Son駅を過ぎると、地上へ上がります。以降の区間はずっと高架を走るので、メトロといっても地下区間はかなり少なめです(海外のメトロなら珍しいことではないですが)。

現状は各駅停車の運転のみですが、途中のTan Cang駅は2面4線の待避可能な構造となっています。将来利用者が増えたり鉄道ネットワークが発達した暁には、優等列車の運転が行われるかもしれませんね。

ちなみに、ホーチミンメトロは日本とは異なり右側通行です。それなりの運行本数なので、頻繁に反対方向の車両とすれ違って楽しいです!

終点駅、スイティエン駅と周辺を少し探索

始発駅から約30分弱で終点のスイティエン(Suoi Tien)駅に到着しました。終点まで乗っている人も結構多かったです。

1Fがコンコース、2Fがホームのオーソドックスな高架駅で、コンコースは綺麗で余裕がある広さです。

駅を外から見るとこんな感じです。シンプルながらもラインカラーであろう水色がアクセントに使われていていいですね。

駅の正面には大きなバスターミナルがあります。せっかくなので少し覗いてみることに。

バスターミナルの建物に入ってみましたが、かなり広くて驚きました。バス待ちの乗客のために沢山の椅子が用意されています。

ガラス越しには様々な都市へ向かうであろう高速バスが沢山止まっていました。いつかは海外で長距離バスを使った旅にもチャレンジしてみたいですね。

タオディエンへ寄り道しつつホーチミン中心部へ戻る

スオティエン駅からタオディエン駅へ

ある程度駅の周りを探索したところで、タオディエン方面へ戻ります。ただ往復するのも味気ないので、帰りは途中のタオディエン駅で降りてみることにしてみます。

雑然した街をバックに最新の電車が入線してくる様子は絵になりますね。

20分ほどでタオディエン駅に到着です。

タオディエン駅は幹線道路の上に駅があり、3階がホーム、2階がコンコースとなっていました。コンコース階も壁がなく外と繋がっていますが、風が通り抜けると気持ちいいです。

駅の前からは市内中心部の高層ビル群も見えました。日本の鉄道高架橋は桁と橋脚が一体となったラーメン橋が多めですが、ホーチミンメトロの殆の高架橋は、橋脚の上に桁を乗せているシンプルな桁橋で建設されているみたいです。

タオディエンを散歩してココナッツコーヒを飲む

タオディエンは落ち着きのある街並みやお洒落な雑貨屋さんなどが集まる、近年観光客からの人気も高まっているエリアです。駅からちょっと北方面へ歩いていくと、お洒落めな飲食店やカフェが立ち並ぶ通りに出てきました。

ちょっと小腹が空いてきたので、近くにあったCONG CAPHE(コンカフェ)で休憩することにしました。CONG CAPHEはベトナムの色々なところに出店しているカフェチェーンなのですが、このタオディエン店は他店舗と比べてもかなり広い構造になっているみたいです。

注文カウンターは室内にありましたが、客席は屋内だけでなく屋外にも豊富に用意されていました。せっかくなので、ホーチミンの熱気を感じながら外で食事を楽しむことに。

ココナッツコーヒーとクロワッサンを注文しました。ココナッツコーヒーは、コーヒーの上に甘いココナッツミルクアイスがたっぷりと乗っかっていて、暑い中飲むと冷たさと甘さが体に染みて最高に美味しいです!!
そしてクロワッサンは割とふにゃふにゃした食感だったのですが、一緒についてきたソース(甘かったのでこれもココナッツなのでしょうか?)につけて美味しくいただきました。

ちなみに地元っぽいお客さんは、外の席でもパソコンをいじるなど作業をしていました。ベトナムのカフェは結構屋外席があることも多かったので、屋外席で作業するのも日常みたいですね。

タオディエン駅に戻る

休憩したところでタオディエン駅へ戻ります。途中に丸亀製麺がありましたがお洒落な庭があって驚きです。まるで高級店のような雰囲気です……

駅の近くまで来ると、駅までの道案内の看板が見えてきました。どうやら隣の駅の方が近かったようですが、今回はタオディエン駅へ戻ることにします。

タオディエン駅に戻ってきました。やっぱりこの青い看板を見てしまうと、京急の高架駅にいるような感覚になりますね……

オペラハウス駅から市内観光へ

終点の一駅手前のOpera House駅で降りました。

この駅は既に発展した商業エリアに位置しており確保できる土地が狭い場所に建設されているからか、ホームがB2階とB4階に分かれた多層構造になっています。

オペラハウス駅は、観光でも有名なグエンフエ通りの端っこにあり、近くにはホーチミン像やホーチミン人民委員会庁舎があります。

また駅名の通り、ホーチミン市民劇場もすぐ近くにあります。

他にも、サイゴン中央郵便局やノートルダム大聖堂など、徒歩で色々な観光スポットにアクセス出来ます。ホーチミンメトロに乗った後に市内観光を続けるなら、ベンタイン駅だけでなくオペラハウス駅も結構便利ですね。

まとめ:海外で日本製の鉄道に乗るのも楽しい!

この記事では開業間もないホーチミンメトロの乗車記をお届けしました。ホーチミンにはじめて出来た鉄道ということで、地元の方からの注目度も高く、盛り上がっている様子を体感することが出来て楽しかったです。現状開通している1号線は市内中心部と郊外を結ぶ性格が強く、純粋な観光に使うには少々使いづらいところもありますが、お洒落エリアとして人気のタオディエンに行くのには使えるので、よかったらぜひ使ってみてください。

また、将来的には新たな路線の建設も進み、ホーチミンの空港と市内を結ぶ路線も建設される予定があるそうです。現在のホーチミン観光はGrab頼りになりがちですが、いずれメトロを中心とした移動が出来るようになるかもしれませんね。

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