鉄道好きが行く台湾旅行記その7です。高雄市内を走るライトレールに乗って、市内を巡っていきます。まるでとなりのトトロに出てきそうな森の中を走ったり、近代的な港湾都市をバックに走ったりと、走っているシチュエーションが良すぎてとても楽しかったです。
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西門のホテルにチェックインし、龍山寺や台北101を巡る
午前中は国立台湾博物館鉄道部パークへ、午後は行天宮や士林夜市へ
念願の台湾新幹線に乗車し高雄へ。蓮池潭やベイサイドエリア、美佐島駅など美しい街並みを堪能
線路上でランタンを飛ばす光景が有名な十分と、提灯の町並みが美しい九份へ
台北市内でお土産を買い、昼過ぎの便で日本へ帰国
高雄ライトレールとは
高雄ライトレールは正式には「高雄環状軽軌」といい、高雄市内を環状線で結んでいる路線です。高雄市内にはMRTと呼ばれる地下鉄が2路線ありますが、それを補完するように走っています。全線開通したのは2023年末と最近です。
高雄ライトレールはいわゆるLRT、日本人にわかりやすく言えば路面電車なのですが、数多くの最先端の取り組みが評価されています。
特徴① 架線が無くすっきりとした景観になっている
高雄ライトレールの大きな特徴の一つが、通常の線路上には架線が一切ないことです。それによりごちゃごちゃとした電線や柱が無く、すっきりとした見た目になっています。
ではどうやって動いているのかというと、駅の天井に充電装置があり、停車中の僅かな時間のみパンタグラフを上げて充電させるのです。また、回生ブレーキも活用し、架線なしでの運行を実現しています。
一部の区間のみ架線レスというLRTは他の国でも実例がありますが、全線架線レスというのは高雄市が初めての事例だそうです。
特徴② 軌道の80%が緑化されている
路面電車の軌道を緑化する取り組みは世界中で行われており、日本でも鹿児島市電などが行っていますが、高雄市の80%という緑化割合はかなり凄いです。車体も通常色は白と緑が中心のデザインになっており、高雄ライトレールといえば美しい緑というイメージが定着しているように感じます。
ちなみに駅舎も非常に洗練されたデザインのものが多く、景観にものすごくこだわって作られていることを感じました。
ICカードで乗り降りも簡単
乗り降りには現金も使えますが、icカードを使えば楽ちんです。高雄発祥の「iPass」と呼ばれるカードは勿論、台北発祥の「EasyCard」も問題なく使えます。
信用乗車制になっているので乗降はどのドアからでも行えますが、乗るときと降りるとき両方タッチが必要なので忘れずに!(車内だけでなく、ホーム上にもicカードをタッチする機械があるのでそちらでもOK)
まるでトトロのトンネル?緑が美しい美術館駅
緑多い周辺環境に馴染む路線
まず最初に美術館駅に訪れました(蓮池潭からバスで直接来ました)。名前の通り高雄市立美術館のすぐ近くにある駅で、周辺も木が沢山植えられ緑豊かなエリアになっています。
そんなエリアを白と緑のトラムがスマートに駆け抜けていく……素敵な光景です。
ホームも円をいくつも組み合わせたような独特なデザインが特徴的です。
木々の中を駆け抜けるトラムは今や高雄名物
そして特筆すべき点は、この美術館駅からお隣の内惟芸術中心駅の間の軌道が、ただ緑化されているだけでなく、まるで森のように木々が植えられていることです。
美術館駅から西向きの方面を向いて、望遠レンズで撮影すると、この写真のように森の中をトラムが駆け抜ける美しい光景を切り取ることができます。この光景は話題を呼び、まるでトトロの作品中に出てくる木々のトンネルのようだと言われ人気スポットになっています。
撮影するときはくれぐれもトラムにぶつかることの無いよう、気をつけてくださいね。
光栄碼頭駅から港湾エリアを一望する
高層ビルが立ち並ぶ高雄のベイエリアに位置する駅
続いてライトレールに乗りやってきたのは光栄碼頭駅。この周辺は高層ビルも多く、海沿いは綺麗に遊歩道や各種施設が整備されています。
光栄碼頭駅の目の前に「鯨魚(Whale Hall)」と呼ばれるホールがあり、その屋根が展望台のようになっています。屋根に登ると、一際特徴的な「高雄流行音楽中心(高雄ポップミュージックセンター)」を始めとした高雄のベイエリアを一望することができます。
光栄碼頭駅〜駁二大義駅はトラムから景色を楽しむのもオススメ
光栄碼頭駅から駁二大義駅の区間は川を渡るため高架構造になっています。車窓からこの独特なビル群を楽しむのもオススメです。(ただしラッピング編成の側面の窓は景色が非常に見づらいので注意です、自分も美術館駅から光栄碼頭駅まで乗ったトラムはあまり景色が良く見えませんでした……)
回転する大港橋が見どころの駁二大義駅
駅前の大港橋は定期的に旋回ショーを実施
再び高架区間を渡り駁二大義駅にやってきました。
この電停の目の前には大港橋という橋があるのですが、こちらの橋は船を通せるように橋が90度水平に回転出来るようになっているのです!毎日午後3時と、金土日は加えて夜7時にも回転を実演するショーが実施されます。ちょうど午後3時のショーを見れそうだったので、この電停に寄ってみたのです。
3時になるとショーが始まり、中心の塔を中心に少しずつ回転していきます。
全長110mもある橋なので流石に時間はかかりますが、これだけの大きさの橋が丸ごと回転していく姿は圧巻です。
橋中心部にはちょっとした展望台があったりと微妙に左右対称じゃない構造なのですが、上手いことやじろべえの様にバランスを取る姿は見事です。
橋が回転する様子は動画でも撮ったので、よろしければご覧ください。(風の音が結構うるさいですが……)
ライトレールとアート特区のお洒落な建物のコラボを楽しむ
また、駁二大義駅の周辺は駁二アート特区となっており、お洒落な建物に溢れています。線路沿いのアパートのような建物も壁面にイラストが描かれており、トラムとの組み合わせもスタイリッシュです。
古びた倉庫とトラムの新旧の組み合わせも素敵。
「棧貳庫KW2」で遅めのお昼ご飯
駁二蓬莱駅で下車
オタクの悪い癖で、ついついトラムに夢中になっていたらお昼ご飯を食べるタイミングを逃していました。もう15時を回っており、流石に何か食べようということで、「棧貳庫KW2」という商業施設に行ってみることに。
駁二蓬莱駅で下車しました。電停の近くを歩いていると、芝生軌道のスプリンクラーが動作しているところに遭遇。
駅の近くの大通りには、高雄港牌楼という大きな門が建っていました。これだけの幅の道路にまたがっている門は中々見ないですね。
棧貳庫KW2内にある小紅麵店で牛肉麺をいただく
そして棧貳庫KW2に到着。この商業施設は昔倉庫だった建物をリノベーションしたものとのこと。横浜の赤レンガ倉庫のような感じですね。人も結構多く施設の内部の写真を撮っていなかったのですが、かなりお洒落な雰囲気で、お土産屋さんもあったので観光の合間に訪れるのには結構良さげな場所でした。
KW2の中には飲食店もいくつかありましたが、小紅麵店というお店で牛肉麺を食べました。スープは勿論、一緒に入っている牛肉も美味しくて、お腹が空いていたのもあって一瞬で食べてしまいました。
巨大な操車場跡と最新のライトレールの対比が面白い哈瑪星駅
旧高雄港駅の駅舎や操車場がすぐ隣に!
棧貳庫KW2から再び歩き、今回の旅における最後のライトレールの駅、哈瑪星駅にやってきました。この駅は元々は台鉄の高雄港駅があった跡地を活用した駅になっています。ちなみに哈瑪星は「はません」と読むのですが、これは元々港湾部まで走っていた支線を「浜線」と言っていたところから来ているとか。
この駅のすぐ隣は巨大な操車場跡になっており、芝生が広がる広場になっているだけでなく、線路も残され古い車両もいくつか展示されているのです!
この広場はかなりの大きさで、観光客から地元の人まで多くの人々が訪れて賑わっていました。
さらに高雄港駅時代の駅舎やホームも残されています。線路やポイント関係の金具類が沢山まとめて置かれていたのですが、これも昔使われていたものがそのまま残されているのでしょうか……?
SLとライトレールの新旧コラボは必見
この哈瑪星駅周辺の車両が展示されているエリアは「哈瑪星鉄道文化園区」と呼ばれているのですが、その中でも目玉なのはSLの展示です。特にこのDT609という機関車は、ライトレールの線路のすぐ隣に展示されています。
つまりこんな感じに、ライトレールと蒸気機関車のコラボレーションを楽しむことが出来るわけです。
ちなみにこの蒸気機関車は日本の国鉄の9600形蒸気機関車との同型車みたいです。日本の蒸気機関車と最新鋭のLRVをセットで楽しめる場所は世界中見てもここだけではないでしょうか。
まとめ:高雄ライトレールを中心とした高雄観光は便利で楽しい
高雄ライトレールは15分に1本の高頻度で運転しており、駅も地上にあるため手軽に乗車できて便利です。それでいて緑あふれる街やアート地区と調和したトラムは見ているだけでも楽しいです。
自分も今回は高雄ライトレールの路線の半分くらいしか乗れていないので、また東側エリアを中心に乗りに行きたいですね。高雄には日本からも結構飛行機飛んでいますし……
高雄を訪れる際は是非高雄ライトレールを使って色々なところを観光してみてください。
この後は高雄にある世界で二番目に美しいといわれる駅といわれる美麗島駅や、台湾新幹線の台南駅前に展示されている元JR西日本の0系新幹線車両を見に行きました。